こんにちわ!未だクリスマス気分の”ユリシーズ”です。駅前句会年末吉例 袋回し!今階の参加は14人!丁度いい人数です。なぜって全員に全部の袋が回るからです。

各自、1句を持ち寄ります。その句の季語を題に、袋(封筒)に書いて回します。その題で1句作り、隣へ回します。素早く回さなければ、袋はどんどん溜まります。そうして、14個の題に14句で計196句!
選は並選1点で6句、特選2点で2句 さて高点句は?!
温めたミルクの膜や山眠る
佐藤 香珠 題:山眠る
この時期、ホットミルクはうれしいもの。ちょっと膜が張っていたりしたら、なんとなく幸せな気分になります。あの山のように、このまま眠ってしまいたい。そんな温かさです。
笹子鳴く校庭なのは今日限り
岡村 知昭 題:笹子鳴く
みなさん、「笹子鳴く」という季語、わかりますか?「きごさい」によれば「鶯は冬になると餌を求め、山を下り人里で暮らす。鳴き声の美しい鶯も冬にはチャッ、チャッ、という地鳴きしかできない。」なんと笹子とは鶯のこと。この季語で景がよく浮かびますね。今や唯一の楽園となった校庭の端の笹林。そこに冬の鶯が。でもそんな笹林も校庭も「今日限り」なんです。明日からはブルトーザーが地面を掘り返す・・・。
僕だけが銀杏落葉に紛れ込む
おおさわほてる 題:銀杏落葉
この作者は「僕」ばかりです。いったい「紛れ込んで」どうしたいの?「僕」ちゃん?と声をかけられるのを待っているのでしょう。自意識過剰にも程があります。
空冴えてやっとシッポが取れたじゃん
徳永 はもこ 題:冴え
いわゆる「柿食えば」俳句ですね。空が冴えることと、シッポが取れることは何の関係もありません。しかも「やっと」ってどういうこと?ひょっとしたら、神様が進化の途中の猿人を見てよろこんでいらっしゃる?
左利きだけを集めておでん食ふ
伊吹 題:おでん
なんのイベント?それとも「左利き」同盟?「おでん」というあるふれた季語。それだけに俳句にするのは難しい。よくぞ、短時間で面白い句に仕立てました!
右手だけまだ見つからぬ凍る河
宮田 和典 題:凍る
怖い俳句が出来ました。「河」が効いています。川ではなく河。大いなる氷河を思い浮かべます。冬山での遭難、滑落。きっと遺体はバラバラになってしまったのでしょう。「見つからぬ」河底に凍る”それ”
地球義のロシアあかるく冬日差
伊吹 題:冬日差
こういう時事ネタは俳句にするのは難しい。ロシアにだけ冬の日差ということでしょうか?「あかるく」とは一種のアイロニーかも。地球儀で、チャップリンの独裁者のワンシーンが思い出されます。
手袋の小指はいつも遅れとる
徳永 はもこ 題:手袋
「遅れとる」がその通り、遅れをとっているのか、それともそれを見ている誰かのつぶやきなのか?そこがちょっとわかりにくいのが惜しいです。でも面白い句が出来ました!
『手袋の親指だって強情だ』坪内 稔典

いかかがでしたか?多彩な句の数々!時間がないからこそ(平均約2分)!良い句が生まれます。
ポインセチア譜めくりだけして帰る夜
伊吹 題:ポインセチア これほんとは、「ふめくり」だったんですけど、時間がないからですね。おまけして漢字にしてみました。季語が効いてますよね。きらびやかなイヴの夜。脚光を浴びるピアニスト、華やかに着飾った観客。譜めくりをするのは相当な技術が要りますけど、決して目立ってはいけません。「だけして」が泣かせます。コンサートが終われば、一人帰途につきます。恋人が待っているわけでもなく。「ポインセチア」の赤が、やけに目にしみます。

最高点句の佐藤香珠さん、おめでとうございます!賞品は、先月ご紹介した大津・堅田の銘酒「浪乃音 新走り」です。