ありゃ!?気がつけば80回!そんなことに誰も頓着せずに、多種多様な人々が集まりました!なんと19人!!熱い議論が戦わされました。次回からは少し広めの会場にしよう!(今回は多いので席題はなしです)
高得点句は!
春霞安全ピンの危険性 宮田 和典 探題:ピン
誰もが知ってる安全ピン。でも、「安全」って何か変です。実際はピンだから安全じゃないはず。それをわざわざ「危険性」と言及しています。「安全」と「危険」が「ピン」を介して並立しています。そのことでどこか哀しげな春の気分が生まれました。安全ピンの秘密が暴かれ、なんだかもやもやします。それが「春霞」の気分かも。「危険性」は言い過ぎとの意見もありました。
ふらここふらここ春はここほいほい おおさわほてる 探題:ふらここ
「ふらここ」って何でしょう?答えはブランコです。こんな言い方誰も知りません。俳句だけです。いわゆる雅語です。そうして春の季語です。でもどうしてブランコが春の季語なのでしょう?”きごさい”によれば「(ブランコは)寒い間はかえりみられることもないが、暖かくなるにしたがって、子供たちを誘う」とあります。でも俳句界だけで通じる言葉、季語でいいのでしょうか?作者はそこを逆手にとって何うやら呪文のように作句しました。こうしてみると、季語が3つも並んでいます。採った人は最後の「ほいほい」が効いているとも。これで何か意味が帳消しになった。あるいは孫をあやすおじいさん?との読みも。みなさんはどう思いますか?
春の日や返してもらえない図鑑 岡村 知昭 探題:春の日
前半の「や」で切れています。「返してもらえない」という事実とそれに対する気持ちに焦点が当たっています。ここは断然「春の日の返してもらえない図鑑」とすべきでしょう。こうすることで、「図鑑」が大きくフォーカスされます。図鑑を返さない、あるいは返せない理由が深まります。春は別れの季節。余計に哀しみが深まります。俳句は一字で大きく変わるのですね。
手帳には春の風だけ書いてある おおさわほてる 探題:春の風
手帳には具体的に「春の風」と一言、書いてあったのでしょうか?それとも風の種類?いや、書くとは観念的な意味で、春の風を象徴している、つまり手帳を風がめくっていった。等、意見が分かれました。「書いてある」を「かいてある」とそれば「描いてある」とも読めて世界が広がるとも。これも一字で変わる俳句の面白さです。