2024年5月12日第82回句会を行いました

· 句会

あっという間に桜も過ぎ、京都は瑞々しい緑の季節。本日は新しい方もお見えです。しかしというか、当然と言うか、選は割れ、句会は大いに盛り上がりました!

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席題:奥、探題2題。

 

高得点句は! 

むずかしい言葉いらない額の花   徳永 はもこ  探題:額の花

「額の花」って一般的には額紫陽花と言います。題が「額の花」だから仕方ないのですけど、額紫陽花を少し「むずかしく」言っているような気がします。なのに「むずかしい言葉いらない」って言ってのける、そこにユーモアが感じ取れます。「額の花」の前で切れて、切れの効いた俳句らしい俳句です。切れはなぞかけににています。「むずかしい言葉いらない」とかけて「額の花」と説く。ただ、前半は心情を語っています。つまり分かりやすい句です。だからこそ点を集めました。裏を返せば、具体性に欠けます。具体的であれば、読者の入り込む余地ももう少し広がったかも。

 

もってけや野菜いっぱい夏帽子    小川 かずえ 探題:夏帽子    

日常のなにげない会話が俳句になっています。家庭菜園か農家か、ふと訪れた地方でたまたま見かけた野菜作り。会話が弾んだのでしょうか。さいごにお土産まで頂いて帰ります。「もってけや」と言う声、「夏帽子」が爽やかな汗と笑顔を連想させます。

 

引き出しの奥から去年の柏餅   佐々木ひろふみ  席題:奥

意見が割れました!たしかに意表を突く面白い句ではあるのですが、食べ物の句はやはり美味しそうで出ないと!、いやいや、それよりもこの句の冒険心、勇気を買いたい!と真っ二つ。お互いに合い譲れない感じです。皆さんはどうですか?

 

父母は停戦中の豆ごはん       高田 留美   探題:豆ごはん

分かりやすい句です。結局は手間のかかる「豆ごはん」が食卓に出てきました。顔には出さないけど、もう赦しているのかも。まっ、そこはお互いに頑固ですからね。ただ「豆ごはん」=赦しは定番じゃない?との意見もありました。             

 

鈍行に乗るだけの旅柿若葉     植田 かつじ   探題:旅

「鈍行に乗るだけの旅」ですから、どこかで降りるわけでもありません。ひたすら、乗ることを、あるいは車窓からの眺めに終始しています。こんな旅もあるのですね。どこかの駅に着いたのでしょうか。特急通過の為に、長い間停車していたのかも知れません。ホームに隣家の柿の木が。  「柿若葉」は『きごさい』にはこうあります。「初夏の頃、透きとおるような 美しさ見せる。さまざまな新緑の中でも格別のみずみずしさであ る。幹や枝の色、晴れた空の色とのコントラストがことに印象深 い。」季語一つで少し寂しげな小さな旅が、なんと芳醇な世界にうまれかわることでしょう!