台風接近の噂。京都の天気は大荒れです。句会の途中にも激しい雷雨が!句会も熱気むんむん。こちらも激しい議論の応酬です。
席題:夏休み、探題2題。
高得点句は!
夏休みもうあの森は入らない
宮田 和典 席題
不思議な句です。
読み①よっぽど、こわい体験をしたのでしょうか?怯え切っています。昔、地方都市には、郊外にこんな森がありました。子供たちはよくそこで冒険心を持って遊んだものです。特に夏休みはすこし、足を延ばして。大人になってからの回想かも知れません。
②これはある種の決意なのでは?自分がステップアップするため、幼きものを捨て去るのだ。夏休みは飛躍の時なのですね。
③これは有名なゲームですよ。せっかく夏休みなのだから!わかります?!
さて、この句の中句はちょっと不思議な感じになっています。文字通り読めば「森は」どこかへ「入らない」となります。森にそんな意志や、入るべき場所は、考えにくい。上記のような句意からすれば、「もうあの森には入らない」と中八にすべきでしょう。この句ならば、中八でもあまり気にならない。俳句は中八にはある程度寛容です。下六は避けるべきですが。
夏休みの夢から覚める夏休み
高田 留美 席題
無限ループです。いくら寝ても、いくら起きても終わらない夏休み。終わらないことに恐怖すら覚えます。
さて、こちらは上六です。この「夏休みの」の「の」は必要か?との議論になりました。「夏休み夢から覚める夏休み」だと「夏休み」の強調になってしまって、意味がまるっきり変わってしまいます。よくわからない句になります。(リズムは良くなるのですが)。助詞一つで変わってしまう。俳句の面白さです。
画鋲という画鋲を抜いて鰯雲
高田 留美 探題:画鋲
いったいどこなのでしょうか?廃校のとある教室、アトリエの個展のあと、公民館の児童画展のおわり。あるいは亡くなった一人暮らしの家族の住まいの後片づけ。窓から見上げれば鰯雲。もう、すっかり秋なのですね。
壁から画鋲を抜いた跡が、まるで鰯雲のように見えているのだとの意見もありました。
拉麺の屋台に添え木居待月
白爛 探題:麺
目の付け所がすごい。「添え木」が効いています。これはいわゆるチャルメラ屋台ではなく、夜になると突然現れる少しだけ大掛かりな屋台。営業時間終了後のお店の駐車場なんかに組み立てられます。細い垂木にブルーシートの屋根。だから「添え木」が必要なんですね。椅子はビール瓶の運搬ケースのをさかさまにしたもの。座って拉麺を待って、ふと見上げれば、少し欠けた月。(「居待月」:陰暦八月十八日の月。立待月(十六夜)より少し遅れるため、居待月と言う。居待は「座して」待つの意味である。)秋の月と最も庶民的な屋台との取り合わせ。美しいです。
賞品ゲット!ご満悦の宮田氏。